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唯人の小説

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自分

Posted by 唯人(ただひと) on  

自分の中には、いろんな自分がいる。

とても真面目で外面の良い自分もいれば、その影に隠れたかなり意識のゆるい自分もいるし、親しい家族にすら顔を見せない情に脆い自分もいたりする。

そして、心の奥底で、それらの自分を静かに見つめるもう一人の自分がいる。

長い間、人生の主導権を握ってきたのは、意識のゆるい自分で、エゴそのものと言ってもいい存在だ。

ただ、この自分の目論見は人生の中でことごとく失敗し続けてきたので、今ではすっかり力を失ってしまった。

他の自分の意見を無視して暴走することはもうないだろう。

とはいえ、この世界ではエゴがなければ自分を方向づけることができない。

無の地点で何もしないままの人生になってしまう。

エゴを主体とした自分にはまだ重要な役割があるので、他の自分に諌められながらも、自分を押し進めるための何かを模索してくれている。

一方、心の奥底の自分は、他の自分たちをただ静観し続けてきた。

この自覚されることが殆どなかった自分は、何もせず、何も感じないようでいて、実は人生をコントロールし続けてきたフィクサーでもあった。

他の自分はこの自分の掌の上で踊らされてきた、と言うと聞こえが悪いが、自覚される自分よりも多くのことを見通し、自分がどう振る舞うかわかった上で、自分を仕向け、何かを経験させる。

それで自分がどう変わっていくかを注意深く観察しているのだ。

無意識とも呼ばれるこの自分は、エゴがどう感じ、どう振る舞うかを熟知していて、自分が見るべき何かを引き寄せる。

ちなみに引き寄せの法則と呼ばれるものは、無意識の自分が持つ力で、エゴにはその力が殆どない。

人生がエゴの思い通りにならないのはそのためだが、それは健全なことだ。

無意識の自分、心の奥底の自分は経験を欲している。

自分を変えるための経験、自分を知るための経験、魂まで響くような強く心を動かす経験…

写真を撮り始めたきっかけや動機はエゴによるものでも、写真を撮ることに心惹かれ、それを今でも続けている理由はそんなところにあるのかもしれない。

この先に何を見て、何を経験することになるかはわからない。

心の奥底の自分は何かを見通しているのかもしれないけれど。


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唯人(ただひと)

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